東宝 邦画作品ラインナップ
隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS
◆プロダクションノート
Date: 2008.04.18.
From: http://www.toho.co.jp/
URL: http://www.toho.co.jp/lineup/kakusitoride/production.html
■ディテールにこだわったロケーション撮影
今回、全く新しい冒険活劇ということで海外での撮影も視野に入れたが、樋口監督の「舞台が日本なのだから海外でなく、あくまでも日本にこだわりたい」という要望に答え、制作スタッフが全国各地を飛びまわり、樋口組『隠し砦の三悪人』に相応しいロケーションを探しあてた。時代劇ということで必然的に現代のものがないところでの撮影場所と限られてしまうが、本作のこだわりようは、キャストをはじめ長年この世界に身を置くスタッフをもって「よくこんな場所を探した」と唸らせるほど。
ロケーション最大の見所となる武蔵ら一行が敵中突破していく「関所」のシーン。普段は何もない砕石場に樋口監督のイメージする戦国時代の関所が出来上がった。高台な上に眼下には海というロケーション。撮影中は台風のような強風が吹き荒れたが、荒々しくも気高い山々をバックに圧倒的な映像がスクリーンに映し出された。また、金塊を見つけた武蔵と新八が雪姫を追いかけていく「秋月の隠し砦」。上田市の鴻ノ巣の撮影現場は、まさに樋口組の世界観をそのまま表現した幻想的な空間であり、自然の神秘すら感じるロケーションであった。
時代劇ロケのメッカ、茨城の《ワープステーション》でも樋口組ならではのこだわりがあった。撮影関係者なら誰もが見てすぐわかるワープステーションを「ワープステーションで撮影したということさえもわからない現場にしたかった」と語るのはかつて黒澤組でも大道具組付担当をした坪井一春。普段は池がある場所をあえて埋めて使用し、従来なかった道を作り、荒れ果てた山名の宿場町を見事再現させた。そして、強烈な印象を残すオープニングの秋月の城跡での爆発シーンは九州、熊本城で撮影された。樋口監督は前作『日本沈没』でも熊本城を登場させたが、その際はVFXを駆使した撮影だったので実際の城では撮影しておらず、今回が初めてのロケ撮影となった。しかし、天守閣は使わずに城壁のみの使用と“城マニア”の樋口監督らしいこだわり抜いた撮影となった。理想のロケーションを探し、ワンシーンの為だけに撮影現場に行くことも多く、茨城、栃木、長野、九州ほか、寒さと天候と闘いながら文字通り全国各地での撮影となったのだった。
■リアルを追求したコスチューム&メイク、迫力の“火祭り”シーン
樋口監督が衣裳にも相当なこだわりを見せた。そのイメージは、敢えて「(キャストが)二度と着る事が出来ないと思うような衣裳を」だった。『西遊記』(07)『蟲師』(07)などで個性的なコスチュームを手がけた衣裳担当・千代田圭介は、着物一枚で表現するのではなく斬新な重ね着を提案。わざと脚絆を腕に捲いたり、撮影現場に落ちている木屑を衣装の一部に取り入れたり、雪姫の衣装の一部をデニムでデザインしたりと樋口監督のイメージする全く新しい冒険活劇『隠し砦の三悪人』の世界観を見事形成させたものとなった。見せ場のひとつとなる火祭りのシーンでは、その世界観をスクリーンに表現するために夕方からの撮影にもかかわらず、早朝からのべ500名を越えるエキストラひとりひとりに独特かつ斬新な着付をし、また野性味溢れる山の民に相応しいメイク、髪を結い、撮影に臨んだ。主要キャストだけではなく、エキストラに対しても重ね着の美学は徹底されたのだ。
昼間でも気温が零度近くになることもある11月末の御殿場。そんな中、のべ500名を越えるエキストラが参加しての火祭りのシーンは、夜を徹して3日間に渡り撮影された。印象的な山の民の歌とダンスをマスターするため、エキストラたちは寒さに耐えながら猛レッスンを積み、スタッフはひたすら撮影を続けた。その甲斐あって圧巻の火祭りのシーンが誕生した。キャスト・スタッフ共にエキストラ500名のパワーを注入され、さらに高らかに舞う炎の勢いも手伝ってかドラマ部分の撮影でも、力強く生命感あふれる演技が次つぎとフィルムに映し撮られていった。
■最大のクライマックス「山名の砦」。斬新な発想が生まれた最大級のセット
日本でも最大の高さを誇る東宝スタジオ第7ステージ。キャットウォークと呼ばれるスタジオ上部の照明通路ぎりぎりまで建設された「山名の砦」。そのダイナミックなスケール観にキャスト、スタッフは大きな刺激を受けた。武蔵が雪姫を助け出すシーンや六郎太が宿敵・刑部と死闘を繰り広げるシーン、そして雪姫が武蔵を助け伝兵衛にとどめをさすシーン、さらに武蔵と雪姫を得意のつぶてで助け、再び金塊を探しにいく新八のターザンシーンとキャストそれぞれがこの壮大なセットを舞台に吹き替えなしの体当たり演技を見せた。
■個性あるキャラクター作りのために、徹底的にこだわったアクションシーン
今作での樋口監督の演出テーマは、「臨場感のある、肉体と肉体のぶつかりあいを表現」すること。すなわちそれはキャストに肉体的負担を強いることにもなる。樋口監督のそうした熱意に応えるように、主演の松本潤をはじめ長澤まさみ、宮川大輔、阿部寛たちは極力スタントやワイヤーアクションに頼ることなく撮影に臨むため、基礎体力作りは当然のこと、乗馬練習や殺陣の稽古と入念な準備を重ねていった。撮影本番では、ひとりでの乗馬はもちろんのこと、見た目以上に危険な二人乗りにも挑戦。さらには馬上での殺陣や断崖絶壁に張り出した幅1メートル程の道なき道を疾走するなど危険を伴うシーンの連続に、スタッフ一同固唾を飲みながらの撮影となった。それでも樋口監督は妥協することなく、キャストに対して常にハードな肉体の演技を要求し、意識的にキャストの緊張状態を保った。連日の過酷な現場の中で、臨場感あふれる数々の演技がフィルムに焼き付けられていく。そんな時、キャスト・スタッフの頭にあるのは、「最高に面白い映画をみんなに見せてやろう!」という樋口監督が台本に書き記した言葉。そんな熱い思いが、彼ら全員を果敢な撮影に駆り立て、今までになかった全く新しい冒険活劇が映し出されたのだ。それはまぎれもなく、樋口真嗣だけの新たな『隠し砦の三悪人』が生まれた瞬間であった。
■世界水準のVFX
樋口監督は肉体と肉体のぶつかりあいを表現しつつも、本来彼が得意とするVFXを封印したわけではない。冒頭の秋月城跡の爆発シーンやクライマックスの武蔵と雪姫が崩れ落ちる山名の砦から脱出するシーンなど、実写では表現できないスペクタクルを演出するために効果的にVFXを活用している。使い慣れた技であるからこそ、ここぞという時のスパイスとして効かせることでより豊かな映像表現を追究している。俳優の肉体で最大限の演技を引き出し、さらに世界水準のVFXを投入したことで、『隠し砦の三悪人』は前2作を上回る衝撃と驚愕を、またしても日本映画史に残すこととなった。
■井上雄彦が書き下ろした迫力のティザーポスターデザイン
兼ねてよりよく知る樋口監督の要請に応えて、「スラムダンク」「バガボンド」で圧倒的な人気を集める漫画家・井上雄彦氏が、本作のティザーポスターをデザインすることとなった。井上氏はポスタービジュアルのイメージを膨らませるため、撮影現場を訪問。六郎太に囚われた武蔵と新八が「秋月の砦」にある牢獄に閉じ込められたシーンを見学した。そこからイメージを興し、武蔵をモデルにしたティザーポスターのビジュアルを描き上げた。野心に燃える「武蔵の目」が象徴的なビジュアルは、牢獄を模した格子模様の斬新な構図と相まって見るものに強烈なインパクトを与えることとなった。
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