観たい:「名作」続々リメーク 邦画人気と世代交代が後押し
Date: 2008.04.28.
From: 毎日新聞 東京夕刊
By: 勝田友巳
URL: http://mainichi.jp/enta/cinema/news/20080428dde012070004000c.html
◇CG駆使、温故知新
日本映画の日本でのリメークが、このところ流行の兆しだ。連休明けの5月10日には黒澤明監督の傑作に樋口真嗣監督が挑んだ「隠し砦(とりで)の三悪人 THE LAST PRINCESS」が、24日には清水宏監督の「按摩(あんま)と女」を石井克人監督が改作した「山のあなた 徳市の恋」が公開される。邦画人気と世代交代に後押しされた大胆な温故知新。連休中に「原作」をDVDで予習して、見比べるのも一興では。
■展開速く仕掛け派手
樋口版「隠し砦の三悪人」、展開が速い、仕掛けが派手、そして若い。開巻早々から大爆発、切り結んだ刀からは火花が散る。主演は人気アイドルグループ「嵐」の松本潤、相手役に長澤まさみ。身分制度の理不尽さや戦争の非道さを批判し、ロマンスまであってテンコ盛りだ。
敵陣を突破して黄金と姫君を運ぶという設定は同じながら、黒澤監督らの脚本を劇団☆新感線の中島かずきが大幅に脚色、樋口監督がハリウッド映画並みのスケールで料理した。製作陣は「リボーン(再生)」と称する。山内章弘プロデューサーによれば、「ケータイ、ネット時代に合わせたスピード感の、ノンストップアクション」である。
■ほのぼのコメディー
一方、石井監督が「按摩と女」の“カバー”と言う「山のあなた」。温泉宿にやってきたマッサージ師と子連れの男が、訳ありげな逗留(とうりゅう)客の女に引かれるコメディーだ。
清水宏は1920年代から50年代に、ほのぼのとした味わいの人情喜劇を量産した職人監督。半ば忘れられていたが、石井監督は「作風が似ている」と言われて見始め、ほれ込んだ。今回は「清水監督が思い通りに撮ったらこうなる、完ぺき版」と言う。セリフ回しや構図、カット割りは、ほとんど清水版を踏襲。しかしフィルムはカラー、不鮮明だった音声や効果音を明瞭(めいりょう)に。温泉街の地理や登場人物の感情は分かりやすく補足した。
衣装や風景、物語も古風だが、主役はSMAPの草なぎ剛と現代の顔。戦前の温泉街の、モダンでのんびりした空気に、21世紀の色がついた風情である。
■挑戦の土台整う
日本映画黄金期は名作傑作の宝庫だが、リメークには骨が折れる。風景は失われてロケ地探しに苦労するし、小道具や時代考証の蓄積も今はない。巨匠の名前に気後れもある。少し前の日本映画界なら、金も度胸もなかった。しかしこのところ、日本映画界は勢いがあるし、黄金期を知らない世代が一線で活躍する。CG(コンピューターグラフィックス)も格段に進歩して、足りない物はゼロから作ればいい。思い切った挑戦の土台が整ったというわけだ。
山内プロデューサーは「マンガやベストセラーばかりでなく、古い映画も“原作”になりうる。良い小説が何度も映画化されるのと同じでは」。この傾向、しばらく続くと予想した。
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