2007年4月12日木曜日

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『黄色い涙』犬童一心監督 インタビュー
  Date: 2007.04.12.
  From: http://www.kansai.com/
  By: 田辺ユウキ
  URL: http://www.kansai.com/cinema/interview/070412_interview.html



物語の舞台は1963年の東京。オリンピックを間近に控え、活気づく街の雰囲気に反して、芸術家を志す4人の若者たちは、4畳半のおんぼろ部屋にすし詰めになって暮らしていた。だけど彼らには、金はなくとも夢がある。「いつか成功してみせる」と心に誓いながら、その日暮らしの生活を送っていた。しかし現実は、そうは甘くはなかった。4人の青春は、少しずつ苦みをはらんでいく。

『黄色い涙』は、1974年にテレビドラマ化もされた漫画家・永島慎二の原作を映画化した青春ドラマ。人気アイドル・グループ「嵐」のメンバーが全員出演しているが、しかし、決して「女性向け」の作品ではない。犬童一心監督が映画の中で描く男心には、いつも、腹の底をチクチクと刺すような痛さと、しょっぱさがある。代表作『ジョゼと虎と魚たち』(2003)では、居心地の悪くなった恋愛から逃げ出した、妻夫木聡扮する主人公の無情なる気持ちを“号泣”という形で表現したが、この『黄色い涙』でも、“現実”に居心地の悪さを覚え、夢や希望という言葉に対して次第に腰が引けていく青年たちの“弱さ”を、とても丁寧に綴っている。

まさに“心理を描く名手”。そんな犬童監督に、今回、じっくり話をうかがった。


IN: この作品は何と言っても、“「嵐」のメンバー総出演”というところが話題です。

(映画を製作した)ジェイ・ストームの藤島ジュリー景子さんと嵐のコンサートに行きまして。そこで「嵐を主演にした映画は作れますか?」と言われて。そのとき、ふと「そういえば俺って、昔から『黄色い涙』を映画にしたかったんだよな」ということが、頭をよぎったんです。嵐のメンバーの、男の子同士の仲の良い感じって、『黄色い涙』の青年たちの姿と重なるし。何より二宮君を見て、「彼なら映画の中心人物・村岡栄介役を演じれるはず」と思ったんです。それがきっかけでしたね。

IN: 二宮さんのどういう部分に「村岡栄介らしさ」を感じ取ったのですか。

まあ、これはお客さんも映画を観てからの話になるけど、二宮君って村岡栄介役の雰囲気にぴったりはまっていますよね 。「村岡栄介役を誰にやらせようか」と日本にいる俳優を見渡したとき、二宮君はトップに名前が来るはず。例えば、V6の岡田(准一)君でもないし、妻夫木(聡)でもないし。あの役が1番似合うのは二宮君ですよね。

IN: 松本潤さんの役は、ほかのメンバーとはちょっと違うキャラクターですよね。

そうですね、テレビドラマ版にも出てこない役ですし。相葉雅紀君、大野智君、櫻井翔君が演じたのは、どんどん“ダメ”になっていく役。で、二宮君は何とか生き残っていく。いずれバラバラになる運命だけど、この4人が過ごした時間は、誰かに受け継がれて欲しい。その役目を、松本君に託しました。

IN: あと櫻井翔さんの、ボサボサ頭とずり落ちそうな眼鏡の姿は、もう、笑いながら観てしまいました。

何せテレビドラマ版では岸部シローが演じていた役ですから(笑)。櫻井君って普段はこういう役はやらないから、今回はすごく楽しんで、そしてキャラクターを作りこんでやってくれましたね。京都弁もかなり練習していましたし。

IN: メンバーの顔をかなりアップで撮っていたのも印象的だったのですが、そのカメラワークの意図というのは。

嵐のメンバーはとても魅力的。みんなを「スター」として撮ろうと思ったんです。ひとりひとりをちゃんとカメラで押さえていこう、と。「スター映画」として、“5人をまんべんなく見せていく”という撮りかたをしましたね。4畳半の部屋の中でも彼らに迫って撮っているのですが、何だか、映画を観ている人がその場にいるような、参加している感じが出ていますよね。あえて、客観的な見かたをせずに撮りました。カットの見せかたで映画的な興奮を誘うような、サスペンスとしての要素はまったくなくて、起こっていることをそのまんま映すことにも、こだわりましたし。

IN: 監督の好きなシーンはありますか。

二宮君が酔っ払って階段でフラフラしているところが1番好き。あの酔っ払いかた、最高なんだよ・・・(笑)。撮影していても「最高だなあ」と思っていたくらい。二宮君の横を通るエキストラ3人もいいんだよね。

IN: では最後に、この『黄色い涙』をどういった目線で観ると楽しめるか、教えていただけますか。

村岡栄介の姿勢・態度をちゃんと観てもらいたいですね。あの人の“自分の道”の選びかた、しようとしたことを覚えておくと、きっと役に立つんじゃないかな。栄介が突きつけられた問題は、どんな世界や時代でもあることだし。あともうひとつは、何でもない夏なんだけど、それが貴重な夏のように観えて欲しいですね。映画をご覧になる若い人たちの夏も、これまで何でもないものだったかも知れない。だけど「何でもないのだろうけど、でも、そんなこともないよ」と。それを映画から感じて欲しいですね。

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